今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ジャズは冬
今週のさそり座は、宝物のような小さな言葉や思いを大切に繰り返していくような星回り。
言われてみればそうだった、と思わずハッとする。そういう瞬間を力まず自然に迎えられること。そこが俳句鑑賞と占い体験という異なる円が重なりあっていく隣接点と言えますが、「かほぎゅつと集めて吹きぬジャズは冬」はまさにそんな一句と言えるでしょう。
寒いなあと肩と顔を同時に縮めながら言うときの表情や仕草は、確かにジャズのサックス奏者が浮かべるここぞという場面の決め顔にそっくり。それをもって「ジャズは冬」と結論づけてしまうあたりも、宇宙の真理を悟ってしまった気分になってる子供みたいでなんだか笑ってしまう。
きっとこれから寒くて顔をぎゅっとする度に、ジャズは冬と満足げに言った誰かさんのことを思い出すはず。今週のあなたもまた、「せえの」で呼吸をあわせて誰かと「ジャズは冬」と口に出してみましょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
阿房の嗜み
今週のいて座は、みずから阿房(あほう)になっていくような星回り。
文学者や芸術家における阿房の嗜みというのはどこか「賭博」に似たところがあります。つまり、今の一瞬を、過去の暗い淵へと落っことしてしまうか、明日の方へ積み上げていくかという、人生の分かれ道かというくらいギリギリのところに立っていて、それが作品の生き死にの分かれ目と直結している。
そういう「賭博の感覚」というのを、自分の日常的現実や習慣に持ち込んでいける人というのは、なかなかいません。だから、もし今週あなたが、一度でもそういう瞬間に立てたのなら、自分をほめてあげてください。
あるいは、そういう勝負をこれまでも何度かしてきたのだとすれば、それなりの経験を積んできたのだと自負してください。そうして一息つくこともたまには必要ですし、そうであればこそ「軽み」や「ノリ」というものが自分を生かしてくるのだと思います。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
勘所を一つおさえるということ
今週のやぎ座は、型にはまらずギリギリのところで遊んでいくような星回り。
音の調和や色の調和があるように、匂いにも調和するものとしないものがある。「あんずにあかんぼのくその匂ひけり」という句には、甘酸っぱいあんずの匂いと赤ん坊の柔らかな穢れの匂いが混じる、どこかカクテルのような配合の妙が表現されています。
掲句は俳句表現として成立するぎりぎりのところを見極めた作者の成果であり、どこか作者の体臭さえも感じさせるものであるように感じられてきます。句の出来そのものは平明ではありますが、平凡に堕ちることなく、型にはまらずに作者の感受性がキャッチしたある一点を指し示しています。これが実際にやってみると、簡単なことのようで実に難しいのです。
21日にやぎ座から数えて「のびのび元気」を意味する5番目のおうし座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自身の体質が有する勘所というものを一箇所おさえた上で、できるかぎり楽しみを追求していきたいところ。