パンドミ!この言葉を聞くだけでワクワクしますね。バタートースト評論家の私も、様々な食パンの中でパンドミのトーストが最も好きです。でも「パンドミ」って一体なに?定義は?今回は、知っているようで知らないパンドミについて深掘りしました。
バタートースト評論家 梶田香織
今すぐ食べたい!「パンドミ」の魅力
「パン・ド・ミ」「パンドミー」などとも呼ばれるパンドミ。
形や味、食べたときの食感などを思い浮かべてみてください。うーん、食べたくなってきちゃいますね。
数多くの食パンを食べてきたバタートースト評論家の私も、たくさん種類があるなかでパンドミのトーストが一番好き!「パンドミ」という言葉の響きもなんだか素敵に聞こえてきます。
パン・ド・ミとは?
「パンドミ」の意味
ところで、「パン・ド・ミ(Pain de mie)」とはどんな意味かご存知ですか?
一般社団法人 日本パン技術研究所によると、
“「mie(ミ)」とは中身のことを指し、クラム(中身)の多いパンを言う。形状は山型、角型、ラウンド型など様々である”
とのこと。ラウンド型とは、円柱型に焼けるパン型のことです。
ザックリ解釈すると、パンドミは、ミミよりもクラム(中身)の部分がうんとたくさんありさえすれば、形も決まりがなく自由!え、そんなアバウトなの?という感じですよね。
パンドミの形
パンドミと聞いて思い浮かべたのは、山型の食パンだったのではないでしょうか。私もそうです。角型でも良いなんて、ちょっとビックリしませんか?
上の画像はどちらも「パン・ド・ミ」という商品名の食パンです。
ご覧のとおり一般的な山型ではなくワンローフ型で売られているお店もあるのです。
さらに角型やラウンド型で「パン・ド・ミ」と名をつけて売られている食パンはほとんど目にすることがないくらい珍しいと思います。見つけたらラッキーですね。
味と食感のヒミツ
さて。問題は、味と食感ですね。
一般社団法人 日本パン技術研究所のサイトによるとパンドミの製法は、
20世紀初頭にイギリスから伝わったとされており、いわゆるイギリスパンと配合が類似している。
とあるだけ。つまり、バターや砂糖をあまり加えず甘みの少ないシンプルなタイプ、というだけで、ハッキリとした定義はないのです。ですから、お店によってパンドミの定義や説明もさまざまです。
パンドミと普通の食パンの違い
このように、「これがパンドミである」という基準が決められておらず、正解も不正解もありません。パンドミと普通の食パンの違いは、ざっくり言うとお店が「パンドミ」という名前をつけるかどうか、にあります。
とはいえ、多くの方がパンドミはフランスパンのようなシンプルな生地のパン、と思っている方が多いのではないでしょうか。私もその一人であり、それを求めてお店の中ではパンドミを探します。
普通の山型食パンを「パン・ド・ミ」と呼んでいるお店もありますから、初めて訪れるパン屋さんでパンドミを買う時にはPOP(商品の説明書き)をしっかり読むことがポイントです。
店によって異なるパンドミの表記と味わい
なかには「パンドミ」「パン・ド・ミ」という商品名の食パンを置いていないお店もあります。その場合、フランスパンに近い生地の食パンには「ハード食パン」や「イギリス食パン」といった商品名がつけられている場合が多いですよ。
また、店によってパンドミの表記や商品名にバリエーションがあります。
「パン・ド・ミ★クラシック」
たとえば……
「生地をこねるにも発酵させるにもじっくり時間をかけて焼き上げた(店名)のパン作りの基本が詰まっている食パン。シンプルですが、飽きのこない毎日パン!」
「ぱんどみ」
あるいは……
「国産小麦『ゆめちから』を使ったハード系食パンです。軽くトーストするとおいしい!!」
「パンドミ」
「フランス生地を山型食パンに焼き上げました。もちもちの食感がたまらない!」など。
パンドミを食べ比べてみました
ワンローフタイプ(左)と、普通の山型タイプ(右)。2軒のお店のパンドミを食べ比べてみました。
トーストする前の生地を見ても明らかに違います。特に、色と気泡の違いが際立っていますね。
ワンローフのパンドミです。フランスパンそのもの、といった感じ。
外はザクッ、中はもっちもちの、重厚感あるタイプのパンです。
「あ、バレた?ホントは私、フランスパンなの。こんな形しちゃっててごめんね~」
なんてパンの声が聞こえてきそう。今はやりの米粉パンのもちもち感をはるかに上回る、もっちもちのバタートーストになりました。
こちらは、もう一方の山型食パンをトーストしたものです。
山型食パンならではの歯切れの軽さ。ふんわりしっとりしながらも、甘味やバター類の味は控えめで、皮の部分もサクッと軽やか。
焼き立てのフランスパンを食べている気分も味わえる、シンプルで軽やかなバタートーストになりました。
食パンはこのように、フランスパンのようにシンプルな配合でザックリした食感タイプや、バターや砂糖が多めで甘みも多少あるしっとりしたタイプなど、いろいろありますね。
どちらのタイプかは、トーストすると分かります。
通常、バターや砂糖などもある程度入れて作る一般的な食パンは、トーストすると中の白い部分もきれいに焼き色がつくのですが、フランスパンタイプのようにバターや砂糖が少ないと、焦げる材料が少ないため、中央部分はあまり色が付かず、焦げやすい端から焼けていきます。
つまり、画像のように、パンの周りの方に焼き色がつくように焼き上がるのです。
焼き色がなかなかつかないな~と思っていると、焼き過ぎて端が硬くなるので、焼き上がりのタイミングにはお気をつけくださいね。