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伯母直美(うばなおみ)/管理栄養士・旬菜料理家
東京で野菜の収穫体験ができる「暮らしのRecipeキッチンスタジオ」主宰。旬野菜を熟知し、収穫時期・鮮度を保つ野菜の下処理・調理法など、「おいしく野菜を使いきる」ためのノウハウを広く伝えている。また、日本の四季に合わせた季節の手仕事、行事食にも詳しい。旬の野菜の魅力を引き出す料理が人気で、テレビ・雑誌・企業のレシピ開発など多方面で活躍中。著書に「野菜を使いきる。」(主婦と生活社)、「毎日おいしい旬菜うどん」(東京書店)がある。畑の旬野菜成長記&野菜料理をinstagramで紹介中。
季節を意識すると食事が楽しくなる。
「レシピや料理をつくるときは、季節感を大切にしています」
今回、そんな言葉からお話を聞かせてくださったのは、野菜の収穫体験ができる料理教室「暮らしのRecipe」を主宰している伯母(うば)直美さん。東京三鷹市にある自宅の畑で野菜を育てており、旬の食材がいつも身近にあるという伯母さんにとって、季節感を大切にするとはどういうことを言うのでしょう。
「季節の変化を見過ごさず、その季節らしい要素を楽しんでいます。出会いもの(※)を食べたり、季節ごとの食の行事を欠かさなかったり、そのときそのとき体が欲しているものを摂るように心がけたり。食器ひとつを選ぶでも、季節感を大切にするために意識していることはたくさんありますよ」
※同じ季節に出回る相性のよい食材。竹の子と新わかめ、にしんとなすなど(引用:コトバンク)
それってたとえばどんな?と訊ねると、「ひとつは、その季節の象徴や心地よく感じられるものを加えること」と伯母さん。
「春なら桜、初夏なら青葉、秋なら紅葉、冬なら雪など、季節を表すモチーフが入った食器や小物を選ぶこともあれば、暑い季節に涼しげなもの、寒い季節なら温もり感のあるものを使うこともあります。これからの季節ならガラス素材なんていいですよね」
では、そう言う伯母さんが日頃愛用している食器とは、いったいどういうものなのか。1点1点について伯母さんにご紹介いただきました。その魅力や使い方を知れば、食器で季節感を表現する方法について、もう少し詳しく理解できるかもしれません。
1.【皿】荒賀文成「粉引き馬盥皿」「黒釉馬盥小皿」
「縁がくぼんだこの形にひと目惚れしました。この『馬盥(たいら)皿』と出会ったのは、滋賀県の陶芸作家市。作家の荒賀文成さんによると、馬の餌を入れる飼い葉桶をイメージしたものだそうです。バリエーションがあるので、荒賀さんが参加する陶器市へ行くたびに形と色が違うものを購入しています。
和洋を問わず、色々なシーンに使えます。深すぎず、浅い角度からでも料理が映えるので、撮影にも使いやすい品です」
2.【皿】前田麻美「灰青釉菊鉢」「灰琥珀釉菊鉢」「ブロンズ釉菊鉢」
「こちらも陶器市で見つけた器です。前田麻美さんは京大卒の陶芸家で、荒賀さんのお隣に出店されており、目にとまりました。リブ部分がかわいくて、ひと目でほしくなってしまいました。
薄いつくりなので、ていねいに扱っています。料理を選ばず引き立ててくれる器ですね」
3.【皿】陶器市で見つけたブルー皿
「はじめて目にしたとき、花火が散るような柄と青に近いグリーンが目に飛び込んできました。これはお野菜が引き立つなと、ピピッときまして。すぐにお持ち帰りを決めました。
手持ちには白い食器が多いので、こういうお皿がよいアクセントになるんです」