なぜいま「非認知能力」が大切だと言われているの?
ではなぜ、いま「非認知能力」が大切だと言われているのでしょうか。いままさに私たちが置かれているコロナ禍の状況がいい例です。2020年、未知のウイルスの蔓延により私たちの生活は一変しました。
予測不可能なことが起こりうる状況において「テストで〇〇点取れた」というような認知能力だけでは太刀打ちできません。状況を見極め課題を見つけて、自分で考えて行動すること。変化の速い、激しい時代を生き抜くために、いわゆる「非認知能力」が求められているのです。
大学入試で求められる力も非認知能力に変わってきている
実際、教育の現場でも非認知能力を重視する動きが始まっています。
大学入試では国内の大学全体の約10%が個別入試(AO入試、自己推薦入試)を採用しており、文部科学省は今後その割合を30%まで引き上げる方針です。その内容は、小論文・プレゼンテーション・グループディスカッション・面接など、就職活動と同じような内容により近づいていることがわかります。
大学入試に追随して、高校・中学・小学校入試も非認知能力を問う内容に変わっていくことが予想されます。従来の形式だけ、詰め込むだけの勉強ではなく、社会を生き抜くための力が問われ始めているのです。
「非認知能力」を伸ばす方法は?
「非認知能力」は自分の「意識」で伸ばす力
非認知能力は、感情のコントロールや相手との関係構築など、自分の内側にある意思や感情に大きく関わるものです。したがって、いくら頑張っても親や先生など外側から非認知能力を身につけさせることはできません。非認知能力を伸ばしたい本人が「〇〇な力を伸ばしたい!」という意志を持ってはじめて、その能力を伸ばすことができます。
親ができることは、わが子が非認知能力を伸ばしたいという意志を持てるきっかけを与え「その気にさせる」ことです。わが子がその気になる、すなわち自分の中から沸き起こる興味・関心から行動することを「内発的意欲」と言い、これを尊重することが非認知能力を伸ばす上で非常に大切です。
親が選んだおもちゃばかり与えたり、習い事のような早期教育が行き過ぎたりすると、外から動機を与えられて動く「外発的意欲」が「内発的意欲」に勝ってしまうことになります。
子どもの想像力や自分で考えるチャンスを潰してしまわないように、親は「何かやってあげなきゃ」という気持ちを少し堪えてあげましょう。
「非認知能力」の土台になるのは自己肯定感
自分で悩んだり迷ったりしながら考えていける非認知能力を身につけるには、「自分でやっていい」と思えるような「大人に思いを受け入れてもらえた経験」が大切です。
子どもは生来、自己中心的なもの。特に3~4歳までは周りの人のことが見えず、自分中心の世界です。ですから3~4歳まで、極端に反社会的なことは除いてすべての意思・行動を受けとめてあげましょう。
大人に思い切り受け入れてもらえると、子どもは「自分はここに存在していていいんだ」と思えるようになります。いわゆる自己肯定感(自己受容感)です。
非認知能力の中には、他者と協調・協働する力や自分をコントロールする力などがあります。周囲にいる他者が見え始めるのは5~6歳ごろから。このとき自分で自分を肯定できる深い自己肯定感があれば、これらの力をより身に着けやすくなります。
「受け入れてもらえた嬉しさや安心感」を知っているからこそ、今度は自分をコントロールし他者を受け入れる側になれるのです。幼少期に養った深い自己肯定感が非認知能力の土台になるということです。
▼子どもが「深い自己肯定感」を身につけるために親ができることを、こちらの記事で詳しく解説しています。
「非認知能力」は「ほめ方」でぐっと伸ばせる!
内発的意欲を高めるためには「ほめる」ことが大切です。ほめられることで意欲が高まり、もっとできるようにしようという意思が働きやすくなります。
ただし、単にほめ言葉を発するだけではその価値が伝わらないことも。「ほめたいこと=素敵なこと・感謝したいこと(つまり、価値あること)」を子どもと共有するように意識することが大切です。
ほめるためには、ほめるべき行動を具体的にキャッチすることが大切。ほめる・喜ぶ・感謝するなどの表現をわが子にすることで、お互いがその価値を共有することができます。ほめるときには何がよかったのかをストレートに、そして一目で「喜んでくれてる!」とわかる表情で伝えましょう。
最適なタイミングでほめられるように、普段から伸ばしたい子どもの姿をキャッチできるように子どもをしっかり観察しましょう。
▼わが子の姿をプラスに捉える方法をこちらの記事でくわしく解説しています。