「非認知能力」は外遊びで鍛えられる
「これをすれば確実に非認知能力が伸びる」という絶対的な方法はありませんが、外遊びは非認知能力の向上によい影響を与えます。
遊べる範囲やおもちゃが決まっている家の中での遊びに対し、外は変化に満ちています。季節により変化する環境や、天候により感じ方が変わるものまでさまざまです。「いつもとちがう」物や状況に出会うたび「どうやって遊ぼうかな」と自分で考えるチャンスが生まれます。
また、自然のものには遊び方のルールが存在しません。木の枝ひとつとっても、遊び方はその子次第。想像力を伸ばし、自分で課題を見つけ、達成する面白さがあると言えます。
自由に遊びを展開する中で「こんなことがひとりでできた」「失敗しても見守ってもらえた」経験は、自己肯定感を育み挑戦心や物事をやり抜く力につながっていくのです。
「非認知能力」を伸ばす習い事は?
「非認知能力」が大切だから、それ"だけ"を意識していけばよいのかというと、そうではありません。非認知能力とは、それ単体で存在しているものではなく、また特別なものでもありません。
日々の「ふつうの生活」の中にこそ非認知能力を伸ばすヒントがあり、非認知能力と認知能力、その他の要素が絡み合いながら人として成長していくのです。
したがって、非認知能力だけを切り離して身につけさせるような習い事は必要なく、本人の意識次第で日常生活の中で伸ばしていけるものなのです。
もしも子どもが夢中になれる習い事があるなら、それに取り組む中で課題解決ややり抜く力を身につけられるかもしれません。習い事をする・しないではなく、生活の一部としてどのような意識で取り組むかが大切です。
「非認知能力」を伸ばすための日本の教育現場の取り組み
文部科学省の取り組み
2020年、約10年ぶりに学習指導要領が改定されました。改定には「これからの社会が、どんなに変化して予測困難になっても、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。そして、明るい未来を、共に創っていきたい。」という思いが込められています。
2020年に小学校、2021年に中学校、2022年に高校と順に実施されることになっています。
指導要領には、学校教育で育みたい能力として「生きる力」や「汎用的能力」が組み込まれています。特に学級活動・生徒会活動・学校行事などを通して、問題解決能力や他者との協働、学校活動に向かう意欲など、非認知能力に当たる能力を向上することを目標に掲げています。
教科学習も、教師主導型の授業から生徒主導型の「アクティブ・ラーニング」に変化しており、生徒が自ら課題を見出し、他者との対話を通して考えを深め、解答を導き出せることを大切にしています。
また、幼児期における非認知能力の重要性を指摘し「学びに向かう力(非認知能力)の育ちと、文字・数・思考(認知能力)の育ちには関連がみられる」としています。
小学校に入学した子どもがスムーズに学校生活に適応できるようにするための「スタートカリキュラム」を導入したり、幼小接続を進めるためのポイントを示したりと、いまある課題の解決にも取り組んでいます。
「非認知能力」と「モンテッソーリ教育」の関係は?
非認知能力と同じく近年注目を集めている「モンテッソーリ教育」。モンテッソーリ教育では「子どもは自らを成長・発達させる力をもっている」と考え、子どもがいま何に興味があるのかをよく観察することを大切にしています。
幼児期に多くが訪れるとされ、生きるための大切な能力が得られるという"敏感期”に「お仕事」と呼ばれる教具を使った活動に取り組むことで、自分で選ぶ力・集中力・物事への意欲・やり遂げる根気・心の落ち着きなどが育まれていきます。
その目的は「勉強ができる子」「賢い子」を育てることではなく「子どもの自立を促し自分で生きていける能力を育てる」こと、つまり非認知能力を伸ばすことにあります。むしろ、非認知能力という言葉が浸透したことでモンテッソーリ教育の目的が明確になったともいえますね。
モンテッソーリ教育は英才教育や早期教育ではなく、生きる力=非認知能力を伸ばすための教育だと捉え、目的を明らかにした上で取り組むとよいでしょう。
▼モンテッソーリ教育と非認知能力の関係について、おすすめの本を紹介しながらこちらでも解説しています。
▼モンテッソーリ教育についてはこちらの記事で詳しく解説しています。