今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
私に触れたら感電するぞ!
今週のさそり座は、身近なところに潜む時代遅れな構造から、全力で逃れていこうとするような星回り。
「権力は腐敗する(特に専制君主は)」とは、英国の歴史家ジョン=アクトンの言葉。例えば、受験時の学力偏差値であれ、就職人気企業ランキングであれ、いったんその抗争の渦中に巻き込まれてしまえば、神話的抽象物としての「パワー」を求めてやまなくなり、その飽くことを知らない貪欲さに身に覚えのある人も少なくないはず。
パワーをめぐる抗争の最中では、勝ち負けを超えて遥か彼方を見通すことは難しくなるのが人の子の常であり、どうしたって勝ちを急ぐあまりに奇手や邪道に走る者が後を絶ちません。
今週のあなたは、どれだけこうしたパワー神話にくみすることを避けられるかが、テーマとなっていきそうです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
この世に驚く
今週のいて座は、行間の込めた思いを深めていくような星回り。
「春雪の霏霏と降りゐて月かくさず」(福西正幸)という句のごとし。海からのぼる水蒸気が空に至り、雨滴になったり、雪が降ったりする。それは風が聖霊のような働きをして、天にあるものを遠くに運び、地上に届け、それらはまた海へと流れ、あるいは月へと帰っていく。
そう考えると、上から下へと雪が降れば降るほど、綴られる文章のなかで秘められた黙想が深まるほど、それとは逆に天へとのぼっていく精神の垂直性は強まっていくのかも知れません。
今週のあなたもまた、雪の白と月の白が合わさった崇高な静けさのなかで、みずからの精神を深い領域へと導いていくことができるはず。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
「不遇の自分」という亡霊
今週のやぎ座は、みずからをできるだけニュートラルな状態において、向き合うべき“亡霊”に相対していくような星回り。
能『井筒』は、助演役であるワキの僧が「諸国一見の僧」と名乗るところから始まり、そこに能の主役である「シテ」が現れます。これはたいてい「あの世の」人ですね。恨みや情念をこの世に残した亡霊で、お面をかぶってる。そしてそんな「シテ」の話を「ワキ」はじっと聴いていくのです。
なぜそんなことができたかと言うと、「一見の僧」は出家をしていたから。つまり、この世とあの世の対称性を保ちながら、あちらもこちらもきちんと見る、ということです。この作品がそもそも、作者である世阿弥が60歳になって出家した後に作った作品だったという背景も、大きく影響していたと思います。
今週のあなたもまた、ある種の心理学的な「出家」をはかっていくには絶好のタイミングと言えるでしょう。