阿蘇のシンボル「阿蘇神社」は、2000年以上の歴史をもつ由緒ある古社。壮大な楼門をはじめとした貴重な社殿群を有し、縁結びや長寿にご利益がある神社として親しまれています。今回は熊本地震からの復興を歩む「阿蘇神社」の魅力をご紹介します。
約2300年の歴史を紡いできた「阿蘇神社」の総本社
熊本地震を経て再建された新拝殿
「阿蘇神社」は約2300年前に創建されたと伝わる古社であり、約500社ある「阿蘇神社」の総本社です。神武天皇の孫神であり、阿蘇を開拓した健磐龍命(たけいわたつのみこと)など12神をお祀りしており、古くより肥後国一の宮として崇敬を集めてきました。神社の宮司職を世襲する阿蘇氏は日本有数の旧家として知られ、中世においては肥後国(熊本県)を代表する豪族でもありました。
全国的にも珍しいという横参道
また、参道が神社に対して平行にのびている「横参道」も「阿蘇神社」の特徴です。この参道沿いには飲食店などが立ち並び、神社一帯は多くの観光客・参拝客で賑わう人気スポットとなっています。
「阿蘇神社」は貴重な文化財の宝庫
修復中の楼門。高さ18mは二重門として九州最大規模を誇ります
古い歴史をもつ「阿蘇神社」には貴重な文化財の数々が点在しています。楼門・還御門(かんぎょもん)・神幸門(みゆきもん)・一の神殿・二の神殿・三の神殿の6棟が国の重要文化財に指定され、これらは江戸時代の天保6年(1835)から嘉永3年(1850)にかけ、熊本藩の寄進によって再建されたものです。
平成28年(2016)の熊本地震では建物の多くが甚大な被害を受けてしまい、「日本三大楼門」と呼ばれ、神社の象徴であった楼門も倒壊。現在も復旧工事が進められています。壮大な楼門が再びそびえ立つ日を心待ちにしたいですね。
楼門の左手に立つ還御門
楼門の右手が神幸門
楼門の左右対称に立つ2つの門が還御門と神幸門。どちらも嘉永2年(1849)に建立され、国の重要文化財に指定されています。
拝殿も倒壊しましたが、こちらは2021年に再建。一般祈願も再開され、真新しくも重厚な姿を見せてくれます。この日も訪れる参拝客は後を絶ちません。
奥に見えるのが阿蘇都比咩命などをお祀りする二の神殿
こちらの奥に一の神殿が鎮座しています
境内は左右対称の景観をなし、拝殿の奥に3つの神殿が鎮座しています。一の神殿は健磐龍命、二の神殿は阿蘇都比咩命(あそつひめのみこと)、三の神殿は速瓶玉命(はやみかたまのみこと)などをご祭神としています。
良縁を結ぶといわれる伝説のご神木「高砂の松」
良縁を求めて多くの人が訪れる「高砂の松」
境内には、“縁結びの松”として有名な「高砂の松」があります。この松は約1000年前、「阿蘇神社」の26代宮司・阿蘇友成が宮中参内のため京に上がった際、播磨国(兵庫県)の高砂の松の実を持ち帰ったものと伝わります。
「高砂の松」は、能の大成者・世阿弥の代表作であり、結婚式に欠かせない謡曲「高砂」に登場する伝説の松としても知られています。ちなみに、「高砂」には先述の阿蘇友成がワキ(脇役・能では重要な役回り)として登場しているんですよ。
松の周囲を女性は右回りに2回、男性は左回りに2回まわると良縁に恵まれるといわれています。