腕は横から上げるのが前から上げるのか。背中は伸ばすのか反らせるのか。レッスンに行くたびに、インストラクターによって違う方法を教えられて、迷うことはありませんか? ポーズの正解がわからない、という方へアドバイスをお伝えします。
伊藤香奈
ヨガのポーズは、バリエーションが豊富
ヨガのポーズに正解があるか? というと、あるともいえるし、ないともいえます。なぜアライメントに違いがあるのか?という疑問にはいくつか理由があります。
1.流派による違い
確かに各ポーズには基本のカタチ(ポジション)のようなものはありますが、ヨガの流派によって違う点もあります。例えば、アンジャネーヤーサナ(三日月のポーズ)では、尾骨から登頂までをしっかりと伸ばして、頭頂を上に引き上げる意識をもつことを勧める流派もあれば、背中を反らせて胸を空に向けるよに勧める流派もあります。
三日月のポーズ/YJ US
2 レッスンの目的による違い
インストラクターは、レッスンごとに目的を持ってレッスンを組み立てています。例えば上記のアンジャネーヤーサナで、背中を真っ直ぐに使うようにした場合。インストラクターの目的は、腹筋と背筋のバランスを整えて軸をつくることや、縮こまった上半身を伸ばすことなどがあるでしょう。
逆に、反らせるアンジャネーヤーサナの場合。背中の柔軟性にフォーカスし、自律神経にアプローチする目的や、胸を開いて呼吸を深くする目的などが考えられます。ポジションによって、アプローチする筋肉や得られる効果が違ってくるのです。
3 参加者のレベルによる違い
インストラクターかレッスンの始まりに、ヨガの経験レベルや怪我の有無などを確認するのは、どのようなバリエーションで各ポーズを行うかを考える目的もあります。初心者や怪我をしている人が多ければ、難度の低いポジションを選ぶことも多いでしょう。アンジャネーヤーサナの場合、背中を反らせるポジションの方が腰に負荷がかかりやすく、慣れていない人は呼吸も浅くなりやすいため、背中を真っ直ぐにさせたポジションより難度は高めともいえるでしょう。
4 心地よさの違い
「ポーズが心地よくとれている方は、さらに〇〇してみましょう」というインストラクションも、レッスンでよく聞くことはありませんか?ポジションはどちらでもよく、自分にしっくりくる方を選ぶという場合、ポジションの選択は完全にあなたにゆだねられています。筋肉へのアプローチやポーズの効果よりも、内観して自分の感覚に意識を向け、体との会話を大切にすることが目的とされているかもしれません。
その時々を楽しんで!
ヨガのポーズは、様々な理由からバリエーションが存在しています。その時々の目的やインストラクターの個性を受け入れて、楽しんでみましょう。そしてその背景にある、正解はひとつじゃない、色々な方法があっていい、という人生の学びも味わってみてはいかがでしょうか。