リトリートチェアに腰掛け、目の前に広がる光景に目を向けた瞬間、日常のアレコレすべてが吹っ飛んでいく気がします。風が心地よく通り、鳥の鳴き声が遠くで聞こえ、木々がざわめく―。五感がどんどん刺激されていきます。
最初のZen Wellness体験では、ストレッチをしっかりした後に呼吸法を習い、体のあちこちに意識を向けながら簡単なヨガのポーズを行いました。頭のてっぺんからつま先まで、ひとつひとつのパーツに意識を向けることで、「ここにいる」というリアルな感覚が呼び覚まされていきます。
目の前に広がるのは深緑だけ。ここは日本なのだろうか……? そんな不思議な感覚に埋没。
60分間のZen Wellness体験があっという間に終了。夕食の時間までは、お部屋やデッキなどで自由に過ごします。
筆者のおすすめは、ウッドデッキを降りてすぐの場所にある休憩スポット。心地よいひとり掛けソファとオットマンが備えられ、ゆったりくつろぎながら本を読んだり、無料のお茶やお水をいただいたりできます。ここに座って目の前の緑を見ているだけで、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
こちらの休憩スポットにはオリジナルのポストカードとポストが設置され、住所を書いて投函すれば指定の住所に届くようにもなっています。夕食までの時間を使って、この場所で感じた思いなど、新鮮な気持ちを書いて自分に送るのもいいですね。
18時 植物性の食材のみで仕立てた夕食でエネルギーチャージ
しばらく休んだら、夕食の時間に。「禅坊 靖寧」では、動物性の食材をいっさい使用しないのはもちろん、油・小麦粉も使わず、調味料も1年から3年かけて発酵されたもので仕立てるという、 “禅坊料理”が振る舞われます。まずは料理についてシェフから話を聞き、きちんと理解してから箸をつけるのが靖寧流です。
野菜たっぷりの手毬ずしや、新鮮野菜の煮浸し、ムースや漬物各種など、どれを取っても味わい深くておいしい!野菜はすべて淡路島の農家さんが丁寧に育てたもので、地のものならではのうま味と新鮮さも感じられます。お盆で供されるので簡単に持ち運べるのもうれしいポイント。ウッドデッキに持ち込んで外の景色を眺めながらいただくと、よりいっそう舌が喜んでいるようでした。
この日のデザートは発酵あんこのおしるこ。砂糖の甘みではなく、発酵による甘みで仕立てられたおしるこは、驚くほど滋味深く、体にも心にもやさしく染み渡ります。
先ほどZen Wellness体験で、体のあらゆるところに意識を向ける練習をしたことが食事中にも生かされ、ひとつひとつの素材を感じながら味わうことができました。
19時30分 30分間の2回目のZen Wellness体験で体をゆっくり休める
2回目のZen Wellness体験の時間がやってきました。日も暮れ始め、薄暗い中でより自然と一体になりながらヨガや瞑想を行います。就寝前のZen Wellnessなので、ヨガのポーズは控えめに自分自身にぐっと集中していく時間がメインになります。
目を閉じて、木々のざわめきを聞きながら手や脚、かかとなどのパーツに意識を向けていきます。リラックスしているのに頭はしっかり冴えていく、そんな不思議な感覚。
30分間のプログラム終了後、宿泊者のひとりで、クリスタルボウルという楽器の演奏家の方から、「ちょうど楽器を持ってきているので演奏してもいいですか?」と提案が。「ぜひ!」ということで、居合わせた宿泊者とともに特別リサイタルを楽しむこともできました!「禅坊 靖寧」にはリトリートやマインドフルネスに造詣の深い宿泊者が多く訪れるので、たまにこのようなスペシャルなひと時が訪れるそうです。
外に出てみると、もうすっかり暗くなっていて、「禅坊 靖寧」だけがライトアップされて幻想的な光景に。森の中にたたずんでいることを強く感じさせられました。この日はこれで終了。シャワーを浴びて、23時には就寝しました。
【2日目】5時 起床。朝日を目に焼き付けて、朝のおつとめ
ぐっすり眠って5時にすっきり起床。普段こんなに早く起きることはありませんが、驚くほど目覚めがよく、快調そのもの!さっそくウッドデッキに上がって日の出を待ちます。
リトリートチェアに座って見ていると、燃えるような太陽がのぞき始めました。太陽の光ってこんなに強烈だったんだ!と改めて驚きつつ、自然のパワーに圧倒されます。
日の出を眺めた後、しばらく休んで6時45分から「朝のおつとめ」の時間。リトリートチェアやデッキを雑巾でしっかり拭き上げていきます。たった1日だけなのに意外に汚れていて、真っ白の雑巾が埃で黒くなっていきます。無心であちこち磨きキレイになっていく様子がなんだか楽しく、帰ってからも続けようと決意。