中崎町のカフェ「π spectacle (ぱい すぺくたーくる)」は、北浜で行列をつくるカフェ「Spectacle Kitahama」や「箕面カヌレ」で有名な「Cafe EZE」の姉妹店。22歳でフランスに渡り、パリ、アルザス、ニースのレストランで研鑽を積んだ古田島 善之さんがオーナーを務める2024年2月現在の最新店舗です。
隙間を縫うように入り組む細い路地に在る「π spectacle」
大阪キタの中心、梅田駅から電車で1駅の中崎町。都心にありながら、その街並みには今も昭和の風情が残ります。建物と建物の隙間を縫うように延びる細い路地の奥に、個性的なお店を見つけることができるのも中崎町の魅力。
歩いているだけでも楽しい街、中崎町の少し外れに「π spectacle」はあります。外から見ると、トタン外壁、構造材を剥き出しにしたような柱、壁がわりにした窓を支える鋼材の筋交いが見えて、一瞬工場かな? と思うようなインダストリアルな雰囲気。
中に入ると、明るい暖色系の天井、Artek Aalto(アルヴァ・アアルト)のテーブルのモダンな形や色がやわらかい空気を生みだしています。カウンター前に一脚設けられたテーブル席は、一部ペット同伴可。この日も小型犬を連れたお客さまがお茶休憩されていました。
1階はカフェの注文をする人や、焼き菓子を購入する人で賑わいます。カウンターで注文した後は、思い思いに自分好みの場所を選んで席につきます。
北欧のミッドセンチュリー家具を贅沢に配したカフェ空間
「π spectacle」の魅力の1つは、選んだ席によって表情が違うこと。例えば、1階カウンターの奥はターコイズブルーの壁に囲まれた半個室的な空間になっています。カップルで利用すれば、ちょっぴりお忍び気分を味わえそうだし、お子さん連れでもゆったりとした時間が過ごせそうです。
2階への階段を上がるとまず目に飛び込んでくるのが「イサムノグチ」のAKARI シリーズ23N。天井をとりはらい、三角屋根の梁や1階から伸びる柱が見えるスケルトンな吹き抜け部分に下がるのは同じくAKARI シリーズ71406。ここにも「Artek Aalto」のスツール 64が使われています。足置きのところがツートンカラーになっているのがレア。そう、「π spectacle」のもう一つの魅力は、ミッドセンチュリーデザインの家具に触れて、使えること。
フラットな空間なのに、家具の配置によって仕切られているように感じるのが不思議で、正面の窓側に面した席はおひとりさま仕様。リモートワークや携帯の充電ができるようにコンセントも完備されています。デザイン性に優れた照明は「アルネヤコブセン」。
「ハンス・J・ウェグナー」のYチェアは、色違いでニューヨーク限定カラーもあり、家具好きにはたまりません。「良いものに惹かれる」とオーナーの古田島 善之さん。
パリ、アンザス、ニースとフランスの飲食店を渡り歩いた古田島さんが感じたフランスの魅力は「自由・平等・博愛」。この店が同じ屋根の下でも場所によって犬と一緒に過ごしたり、リモートワークしたり、夜カフェを楽しんだりとさまざまな使い方ができる理由は、フランスのようにお客さまを尊重して、個の違いを受け入れる店づくりをしているからだと教えてくれました。
ARABIAの器でいただくカフェラテと美しいアシェットデセール
「カフェラテ」680円
使う食器のほとんどが「ARABIA」ですが、カフェラテの器はエコパークポタリーのピーターシャイアー。ブランドの歴史などを知らなくても、見て、触れれば、良いものだということがわかります。
「アシェットデセール」1900円
この素敵な空間にぴったりな「アシェットデセール」。丁寧に仕込んだパイ生地を毎朝その日の分だけ焼き上げるミルフィーユを主役にしたひと皿は、パイ生地がなくなれば終了する数量限定の一品。
お皿には古田島オーナーが手がける1号店からの名物「箕面カヌレ」。そしてその横には、イタリアのシチリア島から伝わるアイスケーキ「カッサータ」をカヌレの形で。