築320年以上の歴史ある町家にカフェやギャラリー、物販、工房を備えた「然花抄院 京都室町本店(ぜんかしょういん きょうとむろまちほんてん)」。枯山水庭園も見事な食と芸術が調和された空間で、特別な時間を過ごしてみませんか? 多くの観光客から支持される施設の魅力をご紹介します。
京都でも希少!大きな町家をリノベーションした施設
京都市営地下鉄烏丸御池駅の2番出口を上がって歩くこと約6分。呉服商などの老舗が軒を連ねる室町通に店を構えているのが、今回ご紹介する「然花抄院 京都室町本店」です。京都でも珍しい大きな間口を構えた町家は、軒先の犬矢来(いぬやらい)や2階の虫籠窓など、町家のたたずまいが今も色濃く残り、京都らしい情緒が漂います。
その力強い筆致に思わず圧倒される白のれんは、然花抄院の「然」の字をデザイン化したもの。古くからお菓子作りに欠かせない竈(かまど)に火が点(とも)った姿にも、禅の精神でもある「無」の文字にも見えますね。こののれんをくぐって、施設の中に入ります。
コンテンポラリーギャラリー&枯山水庭園で芸術鑑賞を
店内は、中庭を取り囲むように「カフェ」「ギャラリー」「物販」の3つのスペースがあります。
まず訪れたのが、店舗の奥にある「ギャラリーSUGATA」。こちらには、今から320年程前の元禄13年(1700)に町家が建てられた当時の柱や、かつて使用されていた竈や井戸が活かされ、この空間がたどった歴史を感じることができます。
「創るも、魅るも、然るべき姿へ。」をコンセプトとした、コンテンポラリーな「ギャラリーSUGATA」は、常設展を中心に、ジャンルを問わずさまざまな作家による展示が行われています。一面には大きなガラスが設けられ、注がれる自然光によって作品の表情が変わるのもユニークなポイント。展示されている作品は購入可能。なかにはお求めやすい価格のものもあるので、ぜひチェックしてみてください。
ギャラリーとカフェや物販スペースを結ぶ空間には、白砂と苔の調和が美しい中庭「天戸ノ庭(あまとのにわ)」があります。この庭園を手掛けたのは、代々御室御所に仕えた植木職人をルーツに、京都の有名ホテルなどの作庭も行う「植藤造園(うえとうぞうえん)」。禅の思想を表現した枯山水庭園に立派なシダレザクラが立体感を演出。あでやかに花を咲かせる春や、葉が赤く染まる秋など、季節ごとに違った姿で訪れた人を出迎えてくれます。
この美しい庭園は、ギャラリーや、庭園を挟んだ向かいにある「然カフェ」からも眺められます。特に「然カフェ」にはソファ席が設けられ、じっくりと腰を下ろして庭園を見られるのでおすすめです。席の予約はできませんが、運が良ければ庭園を間近にスイーツやドリンクを楽しむ贅沢な時間を過ごせそうですね。
食べるのがもったいない!美しすぎる春限定パフェ
「桜ぱふぇ(ドリンク付)」1870円~。写真は季節限定の桜炭酸水(ソーダ)とのセット1980円
夏はかき氷が人気の「然カフェ」。春はほんのりピンクの綿菓子に桜のメレンゲを飾った「桜ぱふぇ」がよく注文されているそうです。例年、3月下旬~4月上旬に登場する限定パフェ。そのフォトジェニックな姿はかわいらしく、思わずカメラを向けたくなります。
濃厚な桜のソースをかけると綿菓子が溶けていきます。その姿は、まるで桜の花が舞い散るように少しはかなげで、美しさすら感じられます。
綿菓子の下には、桜カステラや桜の寒天、桜クリームに、バニラアイス、白玉、粒あんが隠れています。上品な甘さのなかに桜の塩味が時々顔をのぞかせるおいしさは、ぜひ一度体感してほしいもの。春限定メニュー(2024年は4月中旬まで)なので、お花見の時期にぜひ味わってください。
「桜炭酸水(ソーダ)」。単品注文の場合は990円
「桜ぱふぇ」と合わせていただきたいのが、こちらも春季限定の「桜炭酸水(ソーダ)」。桜花の風味を凝縮したシロップに、桜ゼリーを入れて炭酸で割った爽やかな味わいが特徴。桜花の塩漬けがほのかな塩味を演出して、春らしさを感じさせます。
「茶庭ノ膳(さていのぜん)」1540円~(ドリンク付)
また定番メニューの「茶庭ノ膳(さていのぜん)」は、然花抄院を代表する紙焼きかすてら3種類を食べ比べできるのが人気の理由。右から看板商品の「然」かすてら、卵の黄身をいかした「卵蜜(らんみつ)」、季節限定のチョコレートの然かすてら「加加阿(かかお)」が美しく並べられ、それぞれのおいしさを堪能できます。