この記事では、野菜ソムリエがさつまいもを甘くする方法と甘みを引き出すコツをご紹介します。さつまいもを焼いてみたけど甘くない……という経験はありませんか。さつまいもは、じっくり時間をかけて加熱することで甘みが増します。調理器具別に手順とコツも解説するので、ぜひ試してみてくださいね。2025年9月30日 更新
さつまいもが甘くなるメカニズム
さつまいもは収穫直後は甘みが少なく、一定期間寝かせて熟成させる「追熟」が必要です。秋に収穫後、13〜16℃で貯蔵するとデンプンが酵素で糖に変わり、甘みが増します。
さらに加熱すると酵素のβ-アミラーゼが働き、デンプンを糖に変化させます。この酵素はさつまいもの中心温度が約70℃でもっとも活発に働くため、甘さを引き出すには温度管理が重要です。(※1,2)
さつまいもが甘くなるメカニズムまとめ
収穫直後は甘くなく、追熟で甘みが増す
13〜16℃で貯蔵することでデンプンが糖化
デンプンに作用するβ-アミラーゼは70℃前後で活発に働く
じっくり加熱するとなぜ甘くなる? 酵素の働きと時間の関係
β-アミラーゼは、さつまいもの中心温度が約70℃でもっとも活発に働き、75〜85℃を超えると作用が止まります。高温の油調理や電子レンジ加熱は急激に温度が上がるため、甘みが引き出せません。
一方、焼きいもは温度がゆっくり上昇するため、酵素が働く時間が長く、糖が生成されやすくなります。さつまいもはじっくり加熱することで、より甘みが増すのです。(※1)
調理器具ごとに解説
電子レンジ
電子レンジを使う方法はとてもお手軽です。ただし、電子レンジで短時間で急激に加熱すると、さつまいもは甘くなりません。低いワット数でじっくり時間をかけて加熱することで甘く仕上がりますよ。
【材料】
・さつまいも……1本
・キッチンペーパー……2〜3枚
・ラップ……適量
・耐熱皿……1枚
【手順】
1. よく洗ったさつまいもにキッチンペーパーを巻きつけ、まんべんなく濡らす
2. ラップで包み耐熱皿にのせ、電子レンジ200Wで10分加熱する
3. 竹串が中までスッと入るか確認し、硬いときは30秒ごとに加熱する
甘みを引き出すポイント
さつまいもにキッチンペーパーを巻きつけ、まんべんなく濡らすことで乾燥を防ぐ
なるべく低いワット数でじっくり時間をかけて加熱する
200Wの設定がない場合は、解凍モードを使用する
オーブン
オーブン調理は温度を一定に保てるため、さつまいもの甘みを引き出しやすい方法です。予熱せずに焼き始め、焼き上がったあともしばらくオーブン内に置いておくことで、じっくり加熱されてさらに甘みが増しますよ。
【材料】
・さつまいも……1本
・キッチンペーパー……2〜3枚
・アルミホイル……適量
【手順】
1. よく洗ったさつまいもにキッチンペーパーを巻きつけ、まんべんなく濡らす
2. アルミホイルで包み鉄板にのせ、予熱なしの160℃のオーブンで60〜90分焼く
3. 軍手をしてさつまいもを触ってみて、全体がやわらかくなっていたらそのままオーブン内で粗熱が取れるまでおく
甘みを引き出すポイント
さつまいもにキッチンペーパーを巻きつけ、まんべんなく濡らしアルミホイルで包むことで乾燥を防ぐ
じっくり加熱して温度を上げたほうが甘みが増すため、予熱をせずに焼き始める
焼き上がったら、オーブン内で粗熱が取れるまでおくと余熱で甘みが増す
蒸し器
蒸し器で加熱すると、水蒸気に包まれてやわらかく仕上がります。冷たい状態からスタートし、じわじわと温度を上げてじっくり時間をかけて火を通すことで甘さを引き出せます。ホクホクしつつも水分が保てるため、しっとりとした口当たりなのが魅力。
【材料】
・さつまいも……1本
【手順】
1. 火をつけずに蒸し器に水を張り、さつまいもをきれいに水洗いして蒸し器やせいろに入れる
2. 蓋をし、中火にかけて沸騰させる
3. 蒸気が出始めたら弱火にして30〜40分ほど蒸し、途中で空焚きをしないように鍋の水を足す
4. 竹串が中までスッと入るか確認し、足りないときは再度10分ほど蒸す