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国も会社もアテにできないから…。誰でもできる「年金チョイ足しワザ」

ライフスタイル

老後に備えて資産準備をしたいですよね? バブル期には予定利率が5%以上のいわゆる「お宝保険」も存在していた個人年金保険ですが、長引く低金利の影響で売り止めや保険料の値上げが相次いでいます。それでは一体、どの保険を選べばいいのでしょうか。今回は、個人年金保険のキホンから選び方までプロが教えます。そして、口コミではわからない本音のおすすめランキングを発表します!

※各保険商品の内容・保険料は2020年5月下旬時点、編集部調べによるものです。

老後の生活にはどれくらいの生活費が必要になるのか、誰もが不安を抱えていることでしょう。もちろん、老後に必要となるお金の額はそれぞれの家庭によって異なりますが、ひとつの指標としてよく利用されるデータに、総務省が発表している「家計調査」があります。あの「老後2000万円問題」の根拠になったのは、この調査の2017年版のデータです。それよりも新しい2019年度版では、公的年金だけで生活する夫65歳以上・妻60歳以上の無職のモデル世帯において、毎月およそ3万3000円の生活費が不足しているという結果になりました。

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このデータをもとに、老後生活が30年間続くとすると、約1200万円の老後資金が必要になる計算となります(3万3269円×12カ月×30年)。

公的年金は今後、受給開始年齢の引き上げや給付水準の引き下げの予測もあり、将来の見通しは明るくありません。日本人の平均寿命も過去最高を更新し続けています。これらの状況を踏まえると、公的年金以外に自分自身で老後資金を準備することは必須だと言えそうです。

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そこで注目したいのが「個人年金保険」です。個人年金保険とは、主に老後の生活資金を確保することを目的とする貯蓄型保険で、公的年金で不足する分を補うために利用されることの多い保険です。ここではまず、その基本的な特徴について確認しておきましょう。

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(C) Tanatat Ariyapinyo/123RF.COM

個人年金保険は、60歳や65歳からなど、契約時に定めた年齢から年金を受け取ることができる保険です。保険料の支払い方は、月々積み立てる「月払い」と一括で払い込む「一時払い」などがあります。一般的に、受け取り開始年齢や受け取り方法などは契約時に定めますが、年金の開始時期に変更できる商品もあります。

個人年金保険で受け取れる年金の種類には、主に「確定年金」と「保証期間付終身年金」があります。

まず、確定年金は、5年・10年・15年など、あらかじめ定められた期間中は生死に関わらず年金を受け取れますが、期間が終われば年金の支給も終了するタイプです。年金受け取り期間中に死亡した場合には、遺族などが残りの期間に対応する年金、または一時金を受け取ります。

もう一方の保証期間付終身年金は、あらかじめ定められた保証期間中は生死に関わらず年金が受け取れ、保証期間終了後は生存する限り一生涯年金を受け取れるタイプです。保証期間中に死亡した場合には遺族などが残りの保証期間に対応する年金、または一時金を受け取ります。

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個人年金保険は老後資金の確保が主な目的のため、基本的には死亡保障がついていません。そのため、年金の受け取り開始前に死亡した場合には、これまでに払い込んだ保険料相当額しか戻ってこないという商品が主流です。現役時代の死亡、病気、ケガなどのリスクには、終身保険や定期保険、医療保険などその他の保険で備えておく必要があります。

個人年金保険に加入しようと思っても、何を基準に選べばいいのでしょうか。そんな疑問を解決する、商品選びのチェックポイントを伝授します。

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(C)kokoroyuki/123RF.COM

個人年金保険を選ぶ際に最大のチェックポイントとなるのが「返戻率」です。返戻率とは、払い込んだ保険料に対して、受け取れる金額がどの程度の割合かを示したもの。つまり、返戻率が高いほどお得だということです。

返戻率は商品選びの際には、返戻率105%以上を目安にするとよいでしょう。「年金受取総額÷保険料支払総額×100」で算出することができます。

なお、個人年金は受取時に、①一括して受け取る、または②10年など期間を決めて年金として受け取るの2種類から選択します。下図でもわかるとおり、一括で受け取るよりも、年金として受け取った総額のほうが受取額が高くなるのが一般的。目安にしたい返戻率105%に一括受取では届かなくても、年金受け取りを選ぶことで達成できるというケースも少なくありません。

▼契約年齢30歳・男性の場合 (月額保険料1万5000円)

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さて、ここで実際に、日本生命の「ニッセイみらいのカタチ年金保険」の返戻率を調べてみましょう。

65歳払済、65歳から年120万円を受け取る10年確定年金で試算すると、30歳男性保険料は月2万6880円となります。年金の受取総額は120万円×10年、保険料払込総額は2万6880円×12カ月×35年で算出できます。これをもとに返戻率を計算すると、1200万円÷1128万9600円×100≒106.29%となります。

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もう一つ、ソニー生命「5年ごと利差配当付個人年金」の返戻率も調べてみましょう。同じく、65歳払済、65歳から年120万円を受け取る10年確定年金という条件で試算すると、30歳男性保険料は2万6772円となります。これをもとに返戻率を計算すると、1200万円÷1124万4240円×100≒106.72%となります。両者を比較すると、わずかにソニー生命「5年ごと利差配当付個人年金」の方がお得度が高いということがわかりました。

このような計算で複数の商品を比較すれば、お金をより多く増やせる保険を見つけることができます。

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もうひとつチェックしておきたいのは、年金の受け取り方です。

個人年金保険の特徴1でも触れましたが、年金の種類は主に2つ、「確定年金」と「保証期間付終身年金」があります。また、受給開始年齢も60歳・65歳・70歳など、任意で設定できるようになっています。

例えば、確定年金であれば、公的年金をもらえるまでの無年金期間に備える、比較的若いうちの趣味の費用に充てるなどの活用ができますし、保証期間付終身年金であれば、一生涯の年金の不足分を補う、保証期間中の死亡に備えるといった活用ができます。

このように、年金の種類と受給開始年齢は、個々のニーズに合わせて設定することができます。ただし、中には保証期間付終身年金が選べない商品もあるため注意が必要です。これは、加入者が長生きするほど保険会社にとって支払額が大きくなるというリスクがあるためです。

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個人年金保険には、年金原資の運用結果次第で受け取る年金額が増減する「変額個人年金保険」があります。

通常の個人年金保険では、契約時に定められた予定利率によって将来受け取る年金額が保証されるため、一般勘定で安全性の高い運用が行われます。

一方の変額個人年金保険では、他の保険資産とは分離された特別勘定で運用を行います。特別勘定の運用先は、国内外の株式や債券など、保険会社や商品によって異なります。用意された特別勘定の中から、契約者が運用先を決めるのが一般的で、投資リスクは契約者が負うことになります。通常の個人年金保険よりも大きなリターンが期待できますが、元本割れのリスクもある点には十分注意する必要があります。

また、将来の年金受け取り額に最低保証(一時払い保険料相当額)があるものとないものがあります。保険を選ぶ際は最低保証の有無も確認しましょう。

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近年人気が高まっている保険に「トンチン保険」というものがあります。これも個人年金保険の一種なのですが、最大の特徴は、生存する限り一生涯年金を受け取ることができる点です。

トンチン保険では、加入できる年齢が50歳以上に定められている商品が多く、死亡給付金や解約返戻金を払込保険料の7割程度に抑え、その分将来受け取る年金を手厚くしてあります。年金の受取額に上限がないので、長生きすればするほどお得度が増していく保険です。

ただし、注意したいのが、年金受け取り総額が保険料払込総額を上回る損益分岐点が、平均寿命よりも高いという点です。損益分岐点は多くの商品で90歳前後となっています。そのため、トンチン保険は平均寿命よりも長く生きる家系の人が長寿への備えとして加入するのに向いていると言えます。

個人年金保険の保険料を支払うと、年末調整や確定申告の際に所得控除を受けられます。所得控除によって、税金の算出の元となる所得額が圧縮でき、支払う税金を安くすることができます。また、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)と併用すれば、さらに老後資産を手厚くできますし、ダブルの節税効果を得ることができます。

そもそも生命保険料控除には3つの枠があり、死亡保険や学資保険などが該当する「一般生命保険料控除」、医療保険やがん保険、介護保険などが該当する「介護医療保険料控除」、そして個人年金保険などが該当する「個人年金保険料控除」に分かれています。それぞれの枠で、所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円の控除が適用されます。

このように、個人年金保険には独立した控除の枠があり、節税に役立てることができます。

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