「伝える力」に自信はありますか? 自分の話が相手にうまく伝わっているかどうか不安だったり、人に説明するのが苦手だったりという人の方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、「伝える力」を向上させる7つのトレーニング方法を、株式会社櫻井弘話し方研究所の櫻井弘さんに教えてもらいました。
話が伝わらない時に、「なぜそうなるの?」「その根拠は何?」「で、何が言いたいわけ?」などと質問する日本人は極めて少ないです。その結果、「伝える力」が伸びづらくなってしまいます。
相手に伝わって初めてコミュニケーションの効果が上がります。
そこで今回は、そのための「コツ」と具体的な「伝える力」を身に付けるためのトレーニング方法を紹介します。
「伝える力」とは何か?
まずは「伝える力」とはどういうことなのか、解説していきます。
「伝える力」とは「理解してもらう力」
「伝える」の漢字は、人偏に云(い)う、つまり「人に云う」と書きます。
「いつ」「どこで」「誰に」「何を」「どのように」言うかによって、伝わり方も変わってきます。そのため、伝わらない理由や原因はあまりにも多いといえます。
その中で「伝える力」とは、相手の知りたいところに焦点を絞って、自分と違う相手に分かってもらう、理解してもらうことを目的としたコミュニケーションの力となります。
ちなみに「理解(リカイ)」をカタカナ・ひらがなで書いて、反対から読むとどうなりますか? ……そうです。「怒り(イカリ)」になります。
相手を怒らせないで、良好な関係を築くためにも、「伝える力」は、現代社会において不可欠なコミュニケーションの力なのです。
「伝える力がある」とはどんな人?
では、「伝える力がある」とは一体どんな人を指すのでしょうか。
私は、以下のようなことができる人を、「伝える力がある人」と呼んでいます。
・相手の頭脳に論理的に働きかけ、内容を正確に分かりやすく伝えることができる
・自尊感情を守りつつ相手の心(感情面)にも配慮し、納得が得られるよう伝えることができる
・頭脳と感情に働きかけながら、「頭心(ズシン)」とくる伝え方ができる
「伝える力」はどんな場面でも必要とされる
「伝える力が必要とされない場面はない!」と言って良いでしょう。
人はそれぞれ、性格や価値観、趣味・趣向に至るまで全てが違います。まして仕事の専門性や特性、組織の特徴やメリット・デメリットなど、この世に「違い」が存在する限り永遠に「伝える力」は必要とされるのです。
その上で、「伝える力」が必要とされる場面を例に挙げるとすると、以下などが代表的です。
・金融関係での「アカウンタビリティー」(説明責任)
・医療業界での「インフォームドコンセント」(医者と患者の十分な情報を得た上での合意)
・政治の場面での「マニフェスト」(方針や意図などを広く伝えるための文書・演説・声明文)
しかしインターネット時代の現代において、もはや業界の境界線はとっくに越えて、「知りたがる権利」に対してきちんと「伝える力」が当たり前のように求められています。
また、SNSの出現によって、口頭のコミュニケーションに加えて、メールなどでの文章や写真、イラストなどによるコミュニケーションも日々進化しています。