今週のみずがめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
地下でうごめく
今週のみずがめ座は、他人事を他人事のまま終わらせないための試みを実行していくような星回り。
コルソン・ホワイトヘッドの『地下鉄道』は、まだ黒人が奴隷とされ、自由を獲得して生きようと考えることさえ「まともじゃない」とされた時代に、奴隷少女の逃亡譚を主軸に、彼らの逃亡を支援する地下組織を描いた作品。
昨今の「Black Lives Matter」の動きを見ていても、多くの人が2020年の今なおあからさまな人種差別の問題が、まったく終わることなく残っていることを思い知らされたことと思います。しかしその一方で、他者の痛みを知って自分事へと結びつけることの難しさに改めて直面している人も多いはずですが、それは人間が人間を差別するときの無自覚さの問題と表裏に関係にあるのではないでしょうか。
今週のあなたにおいても、これまで他人事としか感じられなかった問題を、妄想や想像をまじえて我が事へと沈めていくことがテーマとなっていきそうです。
今週のうお座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
泥棒を見守る
今週のうお座は、安定や確定とはほど遠い状態の自分を見守っていくような星回り。
「よろよろと棹がのぼりて柿挟む」(高浜虚子)という句で詠まれているのは、なんとなく実のなった柿の木へと目をやったところ、塀の外からよろよろと棹が伸びてきて柿の実をはさんだという情景。人の姿は見えないものの、頼りなく揺れながら棹の様子から、おそらく近所のあの子だろうと作者は目星をつけたのかも知れません。
確かにそれが誰なのかは見定めがたいけれど、棹のたゆたいに、心許なさやおぼつかなさ、うろたえ、よろめき、自信のなさ、それでもやむにやまれぬ衝動に駆られている様子など、実際の容姿から伝わる以上の真実がそこから伝わってきたのであり、だからこそ作者はそれを許したのです。
あるいは、棹を持った相手にどこかで自分を重ねていたのだという風にも考えられます。今週のあなたにおいても、つぶさに観察していた対象がそのまま自分に置き換わってしまうといったことが起きていくことでしょう。
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