今回のテーマはメンチカツ。トンカツと対をなす揚げもの界のヒロイン的な存在ですが、おいしく作るためのそのコツとは、驚いたことに「揚げないこと」だそうなんです!さらに衣には小麦粉も卵も不要なんだとか……。
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揚げないメンチカツってなんだ!?
この記事は、三越伊勢丹が運営する、らしさに出会える、食メディア「FOODIE」の提供でお送りします。
「高温で揚げると肉汁が蒸発してしまい、中の肉がパサパサになってしまいがちです。低温でじっくり熱を通すことで、肉汁が全体に回って、プリンプリンとした状態になるんです。肉のジュースをしっかり閉じ込めているため、冷めても美味しいメンチカツに仕上がります」
さらに、小麦粉、卵が不要な理由も、「揚げない」からこそなのだそう。
「小麦粉と卵は肉にパン粉を粘着させるのりの役割を果たしていますが、高温で揚げないので、表面のパン粉ははがれません。直接パン粉をつけてしまってOKです」
衣はパン粉だけ! 揚げないメンチカツの作り方
▶[材料]2人分
メンチカツの肉ダネ…2個 ※作り方は末尾に記載。
パン粉…適量
オリーブオイル…適量
①メンチカツの肉ダネにパン粉をつける。
②冷たいフライパンにオリーブオイル、①を入れて火にかけ、低温でじっくり焼く。
「オリーブオイルはメンチカツの下1/4程度が浸っていればOKです。いきなり高温にしてしまうと中心部と温度差ができてしまい、なかなか中に火が通りません。フライパンが冷たいままの状態から入れましょう。温度の目安としては160℃ほど。オリーブオイルがゆっくり波打つ程度の見た目が温度の目安です」
③オリーブオイルに浮いたパン粉がキツネ色になったら裏返す。
「シュワシュワという静かな音を聞きながら、低温でじっくり揚げます。熱源に近いフライパンの中心部からときどき位置をずらしながら、周囲に浮いているパン粉が美味しそうなキツネ色になるのを目安に、裏返しましょう」
④表面にピンク色のたんぱく質が浮いてきたら火を止める。
「中まで火が通った証拠に、メンチカツの表面にピンク色の汁(たんぱく質)が浮き始めます。そのタイミングで火を止めて、少し余熱で置いておくと、やがて透明の液が出てきます。このときすぐに包丁を入れると肉汁が全部流れ出てしまうため、少し置いておきましょう」
ふっくらジューシーなメンチカツは、ソースなしで!
何から何まで常識破りなこのメンチカツ。半信半疑で包丁を入れて割ってみると……なかは見事なピンク色。この「ソーセージを切ったときのようなピンク色が目指すべき色」だそう。火を入れすぎればもちろん肉がパサパサになってしまいます。
衣が薄いメンチカツは、シェフの言葉通り肉がプリンプリンの食感。ソースがなくても美味しい!
「なぜ高温で揚げなければいけないのか、小麦粉や卵が必要なのかを考えてみると、それはプロのやり方だからです。業務用と家庭用では追求するべき料理法もまた違っていいのだととらえれば、料理が楽しくなりますよ」
揚げものはどうしても焦ってしまいますが、低温でじっくりと焼くこのメンチカツなら、揚げている間ほかの作業も可能、冷めても美味しいので、お弁当にもぴったりです。
揚げないメンチカツ、一度試してみる価値ありです。
▶メンチカツ種の分量
豚ひき肉…200g
玉ねぎ…約1/8個(みじん切りにしてオリーブオイルでソテーし、冷ましておく)
パン粉…大さじ3
牛乳…適量
卵液…大さじ1
塩、コショウ…適量