やさしい甘みとねっとりした食感の干し芋。この記事では干し芋作りのプロに教わった、手軽に作れる干し芋の作り方をご紹介します。お家でもおいしく仕上げるコツは、さつまいもの選び方にあり。干し芋をもっと味わうための絶品アレンジレシピも必見です。
空前の干し芋ブーム到来!プロに教わる干し芋の作り方
近年、栄養バランスがよくダイエット中の間食にぴったりだと、干し芋が人気を集めていることをご存知でしょうか?国内シェア約9割を占める茨城県で、干し芋を作り続けて60年になる株式会社照沼(てるぬま)の名誉会長 照沼勝浩さんによると、供給が追いつかないほどの空前の干し芋ブームなんだとか。
「さつまいもはほかの食材に類を見ないほど栄養バランスがよく、食物繊維も豊富でダイエット中のエネルギー補給にぴったりです。そんな栄養たっぷりのさつまいもをじっくりと干し上げると、甘みがぎゅっと凝縮され、まさに“天然のスイーツ”へと変化します。
寒い日が続く1月から2月は、干し芋作りには最適です。この時期はしっかりと追熟された甘みの強いさつまいもが市場に出回るので、ご家庭でもおいしく作っていただけると思います」
この記事では照沼さんに教わった、究極の干し芋の作り方をご紹介します。お家時間を活かして、ぜひトライしてください。(※1)
おいしい干し芋を作る3つのコツ
その1. 重さが250~350gのさつまいもを使う
「干し芋作りには、1本あたりの重量が250〜350g程度のさつまいもが向いています。これ以上小さいと作る過程で形が崩れてしまい、これ以上大きいと干すときに水分が抜けづらく時間がかかってしまいます」
その2. 追熟させたさつまいもを使う
「さつまいもは掘り立てではなく、追熟されたものを使いましょう。基本的に12月以降に出回るさつまいもは追熟されたものが多いですが、わからなければお家で追熟させることも可能です。
さつまいもにとってのベストコンディションは温度8〜13℃、湿度95%。これは土の中と一緒の環境で、近いのが冷蔵庫の野菜室。さつまいもを新聞紙に包み、野菜室で3日ほど保管すると追熟に近い作用が得られます。あまり長く保管しすぎると水分が飛んでおいしくなくなってしまうので注意してください」
その3. 品種は「紅はるか」がおすすめ
「干し芋作りに向いているさつまいもの品種は、紅はるかです。群を抜く甘さと綺麗な黄金色が、干し芋作りにぴったり。シルクスイートもいいですよ。
紅はるかは比較的新しい品種。以前はタマユタカという品種で作られることが多く、茨城の干し芋農家もほとんどがタマユタカを使用していました。しかし、紅はるかが登場するとその圧倒的な甘さが話題となり、またたく間に主流になっていきました」
プロ直伝!ねっとり甘い干し芋の作り方
準備するもの
・さつまいも(1本250〜350g程度のもの)……お好みの量
・蒸し器
・竹串
・軍手
・割り箸(バターナイフでも可)
・乾燥ネット(ざるでも可)
作り方
1. さつまいもを洗って鍋に入れる
さつまいもをよく洗ってから蒸し器に入れます。火の通りを均一にするため、重ねないように並べます。
2. じっくりと蒸す
蒸し器にフタをして強火にかけます。沸いたら湯気が立つほどの火加減に弱め、1〜2時間かけてじっくりと蒸します。
3. 竹串を刺して火の通りを確認する
竹串を刺して蒸し加減をチェックします。中心部までスーっと入ればOKです。
「糖度が13〜14度のさつまいもは、火を入れすぎるととろけてやわらかくなり過ぎてしまいます。それはそれでおいしいのですが、崩れやすく、干し芋の加工には不向き。蒸しすぎにも注意してください」