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「意識高い」では続かない。ごみゼロを目指す上勝町が、町民に"完璧"を強いない理由

ごみを出さない社会に

その後、町が補助を出して家庭用コンポスターを各世帯に普及させ、生ごみは自宅で堆肥にし、それ以外のごみをゴミステーションに持ち込むスタイルが確立しました。これによりリサイクル率が格段に上がり、2020年度のリサイクル率は81%を達成しました。

そうなると気になるのは残り19%のごみですが、藤井さんはこう強調します。

「よく誤解されがちですが、リサイクル率100%を目指しているわけではないんです。それは町民を苦しめることになりますから。その先まで分別でやろうとするのではなく、ごみを出さない社会をつくることが必要です」

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「ここで飲む水はとてもおいしい。子どもたちに豊かな自然を受け継ぐためにゼロ・ウェイストに取り組んでいます」(大塚さん)
Akiko Kobayashi / OTEMOTO

給食の牛乳からトレイを

上勝町では、ごみを出さない社会づくりのために、企業との取り組みが進んでいます。

洗剤やシャンプーの詰め替えパックを回収している花王は、その再生樹脂でつくったブロックを上勝小学校に贈呈しました。

学校給食の牛乳パックと食品包装フィルムを再生して「給食トレイ」をつくるという官民連携の実験も始まりました。

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一般の給食トレイはガラス繊維で強化されているためリサイクルできないが、牛乳パックの繊維を使うことでごみにならないトレイの試作を重ねている
提供:上勝町役場

町内には米や調味料などを量り売りしている店舗が11店あり、容器を持参して買い物をすることができます。

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上勝町の「カフェ・ポールスター」で調味料や特産品の量り売りをしている。おしぼりはあえてなくし、ハンカチやタオルの持参を呼びかける

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ランチは上勝町産棚田米ごはんなど地元の食材を豊富に使ったメニュー
Akiko Kobayashi / OTEMOTO

ゼロ・ウェイストセンター内にある、不要品を交換できる「くるくるショップ」は、小学生のアイデアで生まれました。

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町民が、まだ使える不要品を持ち込む「くるくるショップ」。誰でも無料で持ち帰ることができる
Akiko Kobayashi / OTEMOTO

葉っぱを日本料理の「つまもの」として出荷するビジネスで「葉っぱの町」として一躍有名になった上勝町。ゼロ・ウェイストをもう一つのブランド価値にしようと、2020年に再び「新ゼロ・ウェイスト宣言」をしました。

町民ひとりひとりが無理をせずに取り組んだ結果、上勝町で1人が1日に出すごみの量は約480グラム。全国平均の約920グラムの約半量となっています。ごみになるものをゼロにする未来に、着実に近づいています。

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