体をゆるめたいと思ってもつい力んでしまうという人、多いのでは? 無意識に体が緊張する原因をつくる「筋肉の硬さ」をピンポイントにゆるめてポーズがラクになる、ヨガ前の簡単ストレッチをご紹介。ヨガティーチャーの鈴木伸枝先生に教えていただきました。
ヨガジャーナル日本版編集部
筋肉が硬く収縮すると無駄な力みの原因になる
「ポーズの中で硬く縮んだ筋肉があると、体はどうしても力みがち。柔軟性をカバーしようと、まわりの筋肉にまで余計な力が入ってしまいます」と伸枝先生。けれど、筋肉を柔軟にしようとむやみに伸ばすだけでは、むしろ新たな力みの原因になることもあるのだそう。「筋肉を急激にストレッチすると、筋線維にある筋紡錘というセンサーが反射的に働き、筋肉を守ろうとして収縮します。ただし、筋紡錘が働くのは最初の20秒ほど。さらに腱の部分にあるゴルジ腱器官が同時に働いて、筋肉の緊張がゆるみ始めます」(伸枝先生)。つまり硬い筋肉をゆるめるには、30秒を目安にゆっくり伸ばすストレッチが効果的。そのコツを、伸枝先生がさらに教えてくれました。 「吐く息ごとにリラックスして少しずつストレッチを深めると、力みを取る効果が自然にアップ。また、武道などで使う『丹田』を意識すると、オーバーストレッチによる筋肉の緊張やダメージも防げます」最終的には「筋肉の柔軟性が高く、最低限の力でポーズをとるのが理想の状態」(伸枝先生)。これを目指して、お悩み別に気になる筋肉をゆるめましょう!
30秒ストレッチで硬い筋肉がゆるむ理由
瞬間的なストレッチの場合
急激に伸ばされてキュッと縮む
(Illustration by Misako Nakagawa)
筋肉が伸びると、筋線維の中の筋紡錘が反応。筋肉の伸ばしすぎや断裂から守るため一時的に収縮反応を起こし(=伸張反射)、筋肉が硬くなる。
30秒たったストレッチの場合
伸ばされ続けるとゆるみ始める
(Illustration by Misako Nakagawa)
筋肉の伸びとともに腱が引き伸ばされ、ゴルジ腱器官が反応。過度な張力をかけないよう、筋肉をゆるめるように働きかける。20秒ほどたつと筋紡錘よりゴルジ腱器官の働きが優位になり、筋がゆるみはじめて、力みのないストレッチが可能に。
左右の開脚が苦手な人のための30秒ストレッチ
内転筋群(Illustration by Misako Nakagawa)
内腿が張るのは、恥骨~大腿骨・膝までをつなぎ、脚を閉じる(=股関節の内転)働きをする内転筋群の硬さがおもな原因。けれど脚を無理に広げても、力みが強まるばかりで筋肉はゆるみません。そこで力が入りやすい部分は壁と床にあずけて自然に開脚し、脚の重みを使って内転筋群をじんわりストレッチしましょう。
HOW TO
壁に向かって仰向けになり、お尻と両脚を壁に沿わせる。両脚を壁につけたまま伸ばして左右に開き、脚の重みを使って30秒キープする。
(Photo by SHOKO MATSUHASHI)
こんなポーズがラクにできるようになる!
(Photo by SHOKO MATSUHASHI)
脚が開くと下半身の重心が安定し、正しく力みのないアライメントに。
足の親指をつかんで伸ばすポーズ(ウッティターハスタパーダングシュターサナ)