肌が敏感に傾いたり、乾燥したり、くすんだり…。肌の悩みは外側からの原因だけでなく、内側の影響も大きく関わります。そのひとつが、「腸内環境」。肌と腸の関係や肌のためにできる腸内環境を整える食生活や生活習慣について、「まいこ ホリスティック スキン クリニック」の山崎まいこ先生にお話を伺いました。
ヨガジャーナル日本版編集部
肌と腸の関係とは?
外からスキンケアで肌を整えることも大切ですが、同じくらい内からのケアも大切です。腸内環境が肌に影響することは、最近よく耳にするようになりましたが、実際にどんな関係があるのでしょうか?
「肌は毛細血管から栄養を受け取っていて、肌に必要な栄養を運んだり、老廃物など溜まった毒素を排出するために運び出したりする役割を持つのが血液です。そして、栄養素を吸収してきれいな血液を作り出しているのが腸だと言われています。つまり、きれいな血液と栄養と肌に届けられるかどうかを左右するのが、腸内環境だと言っても過言ではありません」(山崎先生)
Photo by Hiromi Hashimura
腸内環境が、肌に与える影響とは?
ニキビや乾燥、くすみなどの肌トラブルは、外からのスキンケアで対処するものだと思っていませんか? 実は、腸内環境が影響しているかもしれません。
「外からどんなに一生懸命ケアしても効果が感じられないなら、腸内環境を見直すタイミングかもしれません。腸内環境が悪化することで冷えやむくみの原因にもなり、血行不良で肌のくすみや乾燥などの肌トラブルへ繋がる場合もあります」(山崎先生)
<腸内環境の悪化で起きやすい肌トラブル>
・ニキビや吹き出物ができる
・肌が乾燥する
・いろんなものに過敏になる
・皮脂分泌が増える
・肌のくすみが気になる
・肌にかゆみが出る
・肌のざらつきが気になる
こんな生活・食習慣の人は注意!
腸内環境が悪化する要因にはどのようなものがあるのでしょうか。普段何気なく行なっている習慣や食事が、腸内環境を悪化させて、肌への悪影響になっているかもしれません。
「外食が多かったり、甘いものをよく食べたりする人は、食生活を見直す必要があるでしょう。最近クリニックへいらっしゃる方にも多いのが、ヘルシーだという理由でサラダだけを食べていること。生野菜は消化にも時間がかかり、腸が弱っている人には逆効果。また直接関係がないように思える、冷えや睡眠不足なども腸に負担をかけてしまっています」(山崎先生)
<腸内環境を悪化させてしまう、生活・食習慣>
▶︎冷え
手足だけでなく、おなかも冷えている人は、腸内環境が乱れやすいので注意。肌への栄養もきちんと届いていない可能性大です。ホルモンバランスも乱れやすくなります。
▶︎睡眠不足
寝ている間に、細胞の再生や修復が行われているため、睡眠時間が不足したり、質が低下したりしてしまうと、必然的に肌へも悪影響に。
▶︎糖質の摂りすぎ
糖質は悪玉菌のエサになるため、腸内環境を悪化させる大きな原因に。また過剰に摂取すると、体内で糖化が進んで毛細血管がダメージを受けやすくなるため、肌に栄養が届きづらくなります。さらに皮脂も過剰分泌に。
▶︎早食いはNG
早食いをしてしまうと、しっかり噛むことができていないため、消化に負担がかかります。基本的なことですが、一番大切。お金をかけずにすぐできるので、さっそく意識してみましょう。ひと口につき最低30回が目安です。
▶︎古く酸化した油の摂取
肌の潤いを保つためには、油を摂取することは必要なのですが、酸化している油を摂るのと、それが細胞を作る素になってしまうので、NG。脂っこいものが好きな方や外食が多い方は気をつけましょう。
▶︎サラダだけの食事が多い
腸内環境が悪く、便秘がちな人は特に、生野菜を控えましょう。生野菜は消化に負担がかかるので、野菜を食べる時はスープにしたり温野菜にしたり、少しでも消化に負担をかけない方法を。
腸内環境を整えて、美しい肌を目指す習慣とは?
健やかで美しい肌のために、とても大切な腸内環境。腸内環境を整えるためには、普段の食生活でどんなことに意識すればよいのでしょうか?
「健やかな肌を育むためにも、意識して摂りたいのが、タンパク質と良質な油。水分補給も大切ですが、これらは肌に水分を保つ力を高めてくれます。また、ビタミンやコラーゲン、鉄、亜鉛など、美しい肌づくりには欠かせません」(山崎先生)
<美しい肌に必要な栄養素>
・ビタミンB群(豚肉、納豆、かつお、レバーなど)
・ビタミンA(にんじん、うなぎ、モロヘイヤなど)
・鉄(レバー、煮干し、しじみ、岩のりなど)
・亜鉛(牡蠣、豚レバー、カニ、玄米など)
・ビタミンD(魚の干物、イワシ、きのこ類、クラゲなど)
・ビタミンC(赤・黄ピーマン、ブロッコリー、芽キャベツなど)
・コラーゲン(牛すじ、鮭、さんまの開き、フカヒレなど)
「上記のような栄養素が、美しい肌には必要と言われていますが、お肉や野菜などバランスよく食べることが大切。偏った食事は、腸内環境の悪化にも繋がります。また、どんなにいい栄養素を摂取しても、それをうまく消化・吸収できているかが大切。腸内環境を整えるためには『HOPE』を意識しましょう」(山崎先生)
Photo by Hiromi Hashimura