レシピでよくみかける「ゆがく」という調理ですが、どんな調理法なのかきちんとご存知ですか?なんとなくイメージのある調理方法ですが、「ゆでる」調理との違いから見てみると、その特徴がわかるんです。以外と知らない5つの調理用語について解説します。
ちあき
食材をサッと「ゆがく」という調理
「ゆがく(湯掻く)」とは、野菜などを短時間だけ熱湯に入れて、食材をしんなりさせる下ごしらえ調理。
ゆがき調理の主な目的は、野菜などの臭みをとること。食材をやわらかく仕上げたり、アク抜きのために火を入れる調理を指します。また、しゃぶしゃぶのように食材をお湯にくぐらせるだけでなく、短時間だけ熱湯にさらすことも「ゆがき」に含まれます。
"しんなりさせる"と言う表現にある通り、この調理は主に野菜に使うもの。肉や魚には別の言葉を使うことが多いです。
あくまでもしんなりさせるだけ
食材をゆがくということは、「中心まで熱を通さないようにゆでる」という言い方もできます。
例えばほうれん草のおひたしを作るときは、先に茎の部分を30秒、葉の部分も浸して1分ほどゆがきます。これくらい短時間だと、葉がくたっとなってしまう心配もなく、適度な食感とやわらかさを楽しめるんですよ。
アク抜きのときもしっかり"ゆがく"
例外として、たけのこなどアクの強い食材を"ゆがく"ときは、長時間しっかりと火を通します。ある程度大きくなったたけのこはエグミを持つようになり、ときには何時間か煮込まなければいけないことも。あまりメジャーな食べ物ではありませんが、ドングリも"ゆがく"という言葉を使います。
この場合もアク抜きが目的なのですが、慣用表現として"ゆがく"という言葉が用いられているようです。
「ゆがく」は西日本の方言?
ネット上では、西日本ではゆでる調理全般を「ゆがく」と表現する、という話もちらほら。
しかし、関西でも「じゃがいもをゆでる」「ほうれん草はゆがく」というのが一般的なようです。もちろん切り方や固さによってあいまいな部分もありますし、言葉の彩で「ゆがく」と言うことがあるは西日本でも同じ。場面に応じて使い分けてみてくださいね。
食材の芯まで火を通す「ゆでる」という調理
ゆがき調理を知ったうえで「ゆでる」という調理を見てみると、食材の芯までしっかり火を通す調理だということがわかります。
ゆで方で食感が変わる食べ物の中でも特にシビアなのが、ゆで卵。手早くゆでればとろとろの半熟卵、10分以上火を通せばハードボイルドと、ゆで加減によってできばえが大きく変わる食べ物です。
しっかりゆで時間も
ゆでるという調理では、5分以上火を通すことが多いと言えます。根菜や固い食べ物では、火が通るまで数十分ゆでることも。
ラーメンの替え玉なら話は別ですが、パスタを"ゆがく"というのはあまり考えられませんよね。うどんの名産地でよく売られている手製乾麺などでは、20分ほどしっかりゆでる乾麺も販売されています。
実は「うでる」という方言も
ゆでるという調理を指すときは、「うでる」という言い方も。実はこれ、奥州地域から関東甲信越で見られる方言なんです。江戸弁の「七(しち)」を「ひち」と発音する言葉のように、自然発生的に生まれた言い回しだと考えられます。
ただ、全国的にちらほら聞かれる表現なので、言い間違いというわけではありません。試しに「うでたまご」と打ってみると、きちんと「茹で卵」として変換されるのがわかります。
ちなみに近畿地方では、固ゆで卵を指して「煮抜き卵」と呼ぶこともあるんですよ。
ゆがくよりも短時間「湯通し」
「湯通し」は熱湯にサッと通したり、熱湯をかけたりすることを指します。「ゆがく」よりさらに短時間でおこないます。湯通しをする目的は、火を通すより余分な脂やにおいを落とすこと。
一般にお肉やお魚、またワカメの色出しなどにも用いられる言葉です。
肉や魚は「霜降りにする」
よく脂ののったお肉やお魚は、サッとお湯をかけて霜降りにすることがあります。素材の段階で油ののった「霜降り肉」と区別するため、「霜降りにする」と言うことが一般的です。
しっかり火を通すと食感や旨みも損なってしまうので、表面の色が変わったらすぐ冷水に漬けましょう。