こんにちは、ヨムーノ編集部です。
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つみたてNISAは、どうやって始めるのか、どうやって運用していくかということに目が行きがちですが、もうひとつ「非課税期間が終わったらどう処理するか」という出口戦略を立てることも大切です。
運用は大切ですがそれがゴールではありません。
積み立てたお金を積立期間の満了時にどうするか、事前に終わり方・続け方について知識を身に着けておきましょう。
監修・執筆者紹介
【経済ジャーナリスト】酒井富士子[サカイフジコ]
満了時には「売却」・「移管」のどちらかを選択する
一般口座で投資をしている場合、運用に期限はありませんが、つみたてNISAに関しては、非課税期間が最大でも20年間。この間にどのようにお金を運用していくのか、そして非課税期間が満了したらどう対処していくのかを考えておく必要があります。
比較的リスクの少ないつみたてNISAではありますが、大切な財産を投資するわけですから、入念に考えておいて損をすることはありません。
つみたてNISAで満期を迎えた時には、「売却」か「課税口座への移管」のどちらかを選ぶことになります。この選択は、満了時に損が出ているか利益が出ているかという運用実績によって変わってきます。具体的に見ていきましょう。
満了時に含み益が出ている場合はどうする?
課税口座での投資信託の売却時には、利益に対して20.315%の税金を支払う必要があります。一方で、つみたてNISAでは、非課税期間である20年以内に売却をした場合には全額が非課税、つまり税金が一切かかりません。
満期時に含み益が出ている場合には、シンプルにすべて売却するのがベストな選択となるでしょう。
満了時に含み損が出ている場合はどうする?
つみたてNISAは、毎月定額をコツコツと長期投資する制度であり、投資商品も金融庁が厳選したお墨付きのもの。よって基本的に大きな損が出るようなリスクの高い投資にはなりません。20年間運用して満了時に大きな含み損を抱えることはあまり考えられませんが、万一のことと想定して説明をしていきます。
もしも満了時に含み損が出ている場合には、売却・課税口座への移管の両方の選択肢を検討することになります。
これ以上損をしたくないし、その先さらに資産が減る不安を抱えたくないという場合、売却を選択して損切りしましょう。売却してしまえばそれ以上下がることはないので、いったん仕切り直して別の投資で損を取り戻すという手もあります。
一方で、ここで売却をせずに自然と市場が回復するのを待つという方法もあります。値上がりするまで様子を見たいという方は、課税口座への移管を選択しましょう。世界中の株価が大暴落したリーマンショックですら結果的には5年で回復したので、市場の回復を待つというのは決して悪い選択ではありません。
課税口座に移管する場合は課税額に注意
課税口座への移行を選ぶ場合には、その後の課税額について事前に理解したうえで判断する必要があります。課税口座につみたてNISA口座の資産を移すと、その時点での価格が「新しい取得価格」となります。
新たに売却する場合に、その新しい取得価格と売却時の価格との差額が課税対象となるので、値上がりが大きいとより多くの税金を引かれてしまいます。これらの条件を踏まえて、具体的な例を見ていきましょう。
(1)含み益が出ている場合
例えば、100万円の積立金を元に50万円のリターンを得ている状態で、課税口座に移管し、さらに30万円値上がりした場合について考えます。新しい取得価格は150万円。課税対象は増額分の30万円となります。
はじめから課税口座で購入していたとすると、180万円-100万円の80万円が課税対象の金額として残ります。つまり、つみたてNISA口座を利用していたことで、50万円分がお得になったことになります。
(2)含み損が出ている場合
一方で、100万円の積立金を元に20万円の損失を出してしまった状態で、課税口座に移管しさらに30万円値上がりした場合について考えます。
新しい取得価格は80万円。課税対象は同じく増額分の30万円となります。はじめから課税口座で購入していたとすると、110万円-100万円の10万円が課税対象の金額として残ります。
つまり、つみたてNISA口座を利用したことで結果的に20万円多く課税されてしまうことになります。
以上のように、ケースによっては課税口座への移管でさらに損失が生まれてしまう場合もあります。こうしたリスクを踏まえた上で移管を検討する必要があるでしょう。