2000年にWHOが提唱した「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと。これをのばすために「変化に柔軟な40代から介護予防に向けて暮らしを整えるべき」と話すのは、シニアヨガ講師として多くの高齢者と関わってきた山田いずみ先生。その具体的な実践法とは。第3回は「介護される体を招く住環境と、その改善法」を紹介。
病のもとを溜め込まない住環境の整え方
山田いずみ先生は食生活や運動と同様に住環境と健康は密接と考え、「快適」と感じられる住環境はストレスを減らし体と心の安定を育むと言います。今回は、住環境の面から介護予防を考えてみましょう。
「住環境は心身の健康と無関係ではありません。例えば室内が寒いと体を冷やし、散らかった部屋で生活すると心は落ち着かずストレスフルな状態になり、部屋と心の状態は比例しているといえます。
また、電磁波、騒音、過剰な光、人工的で強い香りなど、自然環境にはない強い刺激に五感をさらすと自律神経が乱れ、不眠や倦怠感、頭痛、不安の高まりを覚える人もいます。スマートフォンの使い過ぎや香料を含む洗剤の使用などを見直したいものです」(山田いずみ先生)
Photo by Kenji Yamada
習慣づけたい3つの整え方
1.体を温めよう
冷えは万病のもとであり、肩凝り、下痢、免疫力の低下など様々な不調をもたらします。冷えの解消には、部屋にカーペットを敷く、湯船にゆったり浸かるといった生活を心掛けて。体の外側だけでなく、内側と外側の両方から温める住習慣をつけましょう。
体が冷えたら寝る前に足のオイルマッサージと生姜粉末入りの足湯が定番。帰宅が遅くなり湯船につかれない日も、足湯だけはするようにしています
2.整理整頓し、心を健やかに保とう
部屋の散らかり具合と心の乱れは比例するとお話しましたが、暮らす環境を整えると気持ちがすっきりとしてイライラが収まるはず。身の周りを常に清潔に保ち整理整頓を習慣にすることで、心を健やかに保てます。
溜め込み型の人は心の空虚感を物で埋めている可能性があり、瞑想で自分の心と向き合う、湯船に浸かりリラックスするなどストレスケアに時間をかけて。
毎朝、ほうきがけをした後にアロマかお香を焚いてお部屋を浄化。心地よい空間をキープしながら朝の瞑想をするのが習慣です
3.四季の変化を感じよう
四季の変化を感じられるしつらえをすると自律神経が整い、季節に順応できる体に変化します。
早朝の美しい空を見ながら、キリリとした空気の中で深呼吸。自分の肌で天気や気温、湿度を感じ、その日の自然界のリズムに身体をチューニング
自分で作ったしめ縄。自然を季節のイベントアイテムに取り入れても◎
「自律神経は人工的な刺激で乱れやすくなりますが、そもそも周りの刺激に対応するための調整機能を果たすため、適切な刺激を与えることは交感神経と副交感神経のバランスを整える効果が。例えば、空や街路樹、太陽の光や風に四季の移ろいを感じるなど、自然界の変化は自律神経の調整機能を正常に戻してくれます。花屋さんで買った季節の花を部屋に飾るのもいいでしょう」(山田先生)
出典:厚生労働省「平成22年都道府県別生命表の概況」p18,20
教えてくれたのは…山田いずみ先生
Photo by Kenji Yamada
インド政府公認ヨーガインストラクター、シニアヨガインストラクター、チェアヨガインストラクター、チョプラセンター認定瞑想ファシリテーター、マクロビオティックスクール・リマ師範科修了。自身の祖母が体操で元気になっていく姿を見てヨガインストラクターになる。 介護施設や公民館などで高齢者を対象にヨガを指導。自身も山梨県北杜市にて自然のリズムで暮らすホリスティックな生活を実践中。ヨガ以外にも、食養生、摘草料理、瞑想などの経験を、講座、ワークショップ、リトリートなどで人々に伝えている。