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素敵な器でいただきます。vol.2「荻窪の香港粥専門店、3米3」

食事をするとき、その器が素敵だと美味しさも倍増するような…とってもしあわせな気持ちになりませんか。目でみてたのしめる、味わってたのしめる、そんな豊かな「いただきます」の時間を堪能できるお店をご紹介します。第2回目は、荻窪にある香港粥の専門店「3米3」にお邪魔してきました。

日本人のあたたかさにふれて

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荻窪駅から徒歩5分。鮮やかな青が目を惹く建物が今回の目的地。香港粥の専門店「3米3(サンマイサン)」です。

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店内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは青と白をベースにした陶器のインテリアたち。一見カフェのような雰囲気ですが、ここ3米3は、お粥をメインにした香港のローカル料理をいただくことができるお店です。

お店を営むのは香港出身のご夫婦。この日は奥さまのヴィンチさんにいろいろとお話をうかがいました。

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「わたしたちがお店をはじめたきっかけは、日本が大好きで、日本で暮らしたくなったからなんです。移住前にも旅行で20回は訪れていましたね。人々が親切でとてもあたたかいでしょう。日本に住みはじめた当初は、日本人のお友だちをつくりたくて、自宅で香港料理の教室を開いていました。そこで人気だったのがお粥のレシピだったんです」。

東京には香港粥の専門店がなかったことにチャンスを感じ、2017年5月にお店をオープンすると、「美味しくてかわいい、お粥のお店」と口コミが広まり、人気店へ。現在は5店舗にまで拡大しています。

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新聞、テレビ、雑誌と日本のメディアからもひっぱりだこ。

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店名の「3米3」は「粥」の字体をばらしたもの。「かわいくてインパクトのある店名にしたかったんですけど、オープンしたてのときは、よく『なんのお店ですか?』『なんて読むんですか?』と言われてしまって。もっとわかりやすい名前にすればよかったかもしれないですね(笑)」とヴィンチさん。

ポーランド食器とともに

人気店として口コミが広まった理由のひとつは、店内で使用されている器にありました。

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「3米3の器は『ポーリッシュポタリー』と呼ばれる、ポーランド食器で統一しています。幅広い世代の方から好評をいただいているんですよ」。

ヴィンチさんはもともと旅行と器が好きで、さまざまな国の器を収集していたそう。そんな中、自身のお店で使用する器にポーランド食器を選んだ理由はふたつ。

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「愛らしいデザインに加えて丈夫であることと、香港の伝統的な食器の色と似ているからです」。

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香港は長い歴史の中で、他国とさまざまな関係性にありました。ヴィンチさんは、いろいろな文化を取り入れることをポジティブにとらえ、自分でお店を開くなら「外国のかわいい器」、「日本の安全な食材」、「中国の調理方法」、「香港の定番料理」のすべてを取り入れたかったのだといいます。

「実際にお粥をよそってみたところ、やさしくてあたたかい雰囲気がぴったりあいました。ポーランド食器も、ひとつひとつ手づくりされたものだからかもしれません。同じように見える柄も、大きさや濃淡など、どれも少しずつ表情が違うんですよ」。

今回はそんなポーランド食器で、ご自慢のお粥をいただくことに。

あたたかい気持ちで「いただきます」

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お粥の素朴さをかわいく引き立てる鮮やかな器。手に持つと、お粥のあたたかさがほんのり伝わり、心まであたたかい気分になりました。いただいたのは、香港でも定番人気のお粥「豚肉とダブル卵」です。

ひと口食べると、お米自体の風味が豊かでおどろいてしまいました。メニュー表で具材を見ると、「米、豚肉、ピータン、塩漬け鴨卵、魚肉でんぶ、揚げ春巻の皮、ネギ」とあります。

そもそも香港粥は、主にお水とごはんでつくる日本のお粥とは全く異なるものだそう。「香港のお粥はチキンなどでしっかり出汁をとり、栄養のある食材を入れて、米から3時間くらいじっくり煮込んでつくります。食事で病気を予防する“医食同源”の考えのもと、健康に導くような料理なんですよ」。

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いろいろな食感をたのしめて、最後まで飽きずに美味しくいただきました。ちなみに、この彩りやトッピングは日本人の好みを考えて、取り入れたそうです。「香港だとシンプルなお粥が好まれますが、日本だと見た目や食感がいろいろあるものが好まれますね」とヴィンチさん。

「何度も来てもらえるお店、長くあり続けるお店にしていきたい」という想いから、3米3のメニューはすべて日本人の嗜好に合わせてオリジナル要素をプラスしているといいます。期間限定メニューも定期的に登場するのでリピーターも多数。

「香港スイーツもおすすめですよ」とうかがい、追加で「鶏蛋仔(ガイダンジャイ)」もいただくことに。こちらは日本でいうB級グルメ的スイーツなのだそう。

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表面のぽこぽこは、卵をイメージ。添えられたハチミツソースは日本人向けに考えられたもの。ベビーカステラとクッキーの中間のような甘さと食感で、ほんのりあたたかく、ホッとするような味でした。

「香港のスイーツは基本的にすべてあたためて食べるんです。甘さが引き立つし、体にもやさしいんですよ。食事の際の飲み物もあたたかいものを提供しています。お客さまにお水ではなく、お白湯を出すのもこだわりのひとつ」。ヴィンチさんはそんな香港の食の文化も伝えていきたいのだと語ってくれました。

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