4. 水差し+ドウダンツツジ
「手頃なサイズの水差しに枝ものをさしてみる。これだけでも食卓で映えます」
そういって考甫さんが取り出したのは、やや角ばった形状の水差し。水をたっぷり注いで、そこに枝振りのよいドウダンツツジをさしました。少し離れて眺め、いくつかの枝をハサミで除いたらできあがり。
「何気なくさすだけでも見栄えはよくなるのですが、しいてコツをいえば、中心軸を左右どちらかにずらすこと。これも、ドウダンツツジを少し傾けて中心軸を外しています。ドウダンツツジは保ちがいいので、この時期でも2週間ほどは楽しめると思いますよ」
水差しにさしたドウダンツツジをテーブルの端に置く。差し込む陽光で輝く薄葉、食卓に浮かんだ葉の影は、朝食の一風景をいつもより美しく見せてくれそうです。
5. ビニール製の花瓶+バラ
考甫さんのバッグから出てきたシャンプーの詰め替えパックのようなビニールシートが、見る間に花瓶に変身しました。こんなものもあるんですね。
「『D-BROS』というブランドのフラワーベースです。ビニール製で安価ですし、こういうものならはじめての花器として買いやすいんじゃないでしょうか。細くて長いオーソドックスなスタイルで、扱いやすいところも初心者向きです」
そこに生けたのは薄いピンク色のバラ。
「先の徳利と同様、茎の長さは細長い花器に合わせ、軸を少しだけ中心から外しました。葉のあるお花を上手にいけるコツは、水に浸かる部分の葉を除くこと。バラは葉がたくさんついていることがあるので、適宜減らしてあげると見栄えよく飾れるでしょう」
ホームパーティーの飾りのひとつにしたくなるようなガーリーポップな一輪挿し。おやつの時間、カラフルなお菓子と一緒にテーブルに置いて眺めてみたいと思いませんか?
6. 背が低い花器+ヒペリカム
少しボリュームがあって、ずんぐりとした形状の器。こういう背の低い花器にお花をいける場合、どういうポイントを押さえればいいのでしょう。
「低めに生けてあげたほうが収まりがよくなります。この手の器に細くて長いものをいけるのはむずかしいんです。今回は少しずつ形状の違うものが4つあったので、ヒペリカムがあちこちに向くよう置いてみました。こうすると、テーブルのどこからでもいずれかがよく見えますね」
ヒペリカムの穏やかでやさしい色合いは、朝食の食卓でこそ映えそうな気がします。ぜひトーストにでもかじりつきながら眺めてみてください。
「水切り」でお花を長持ちさせる
さて、ここまでを読んで「やってみようかな」という気持ちになったら、水切りを覚えておきましょう。これを知っているか否かでお花の保ちがまるで変わります。
飾る器とお花を決めたら、器に合わせてお花の茎を切らなければいけません。その際、バケツにたっぷり水を張り、切ろうとしているお花の茎をそのなかに沈めてください。そして、水のなかのできるだけ深いところで茎をななめに切り落とす。こうすることで、導管(茎のなかにある、植物が水を吸い上げるための管)内への空気の侵入を防げます。ななめに切るのは、そうしたほうが切り口の断面積が広がり、水の吸い込みがよくなるから。
切り口の状態が悪いと、切り花が上手く水を吸い上げることができず、すぐに水不足となってしまいます。水切りによって切り口を整えてあげるのは、お花をいける上での基本の“き”。切れ味のよいハサミを用意して、スパッとキレイに切り落としてくださいね。